結婚の条件
01.8.5
ちょうど7年程前の出来事だった。
とある民家の前を通りがかった時に不思議なたて看板が目に留まった。
その大きな看板には手書きでこう書いてあった。

         花嫁募集
       みなしご・処女
     (年令)20〜40才
      商品化されてない方
         委細直談
    (○○家 п宦宦[○○○○)

しばらく立ち止まって釘付けにならざるをえないほどのインパクトのある看板だった。
呆然とその前に立ちすくみながらその看板についてボクはいろんなことを考えた。
民家の庭の一角に道路に向かって立ててあり、しかも連絡先まで記してあるので
とても冗談やイタズラとは思えない。本気なんだろう。
ここの家の誰かがこの条件に合うお嫁さんを捜しているのだ。

看板で嫁さんを募集する事自体不思議に思えるのだが
それにしてもどうして「みなしご」じゃないといけないのか?
「商品化されてない方」とは?「40才」で「処女」?
厳しい条件であることは否めない。
唯一年令条件は「20〜40才」と緩やかで寛大なようにも一瞬見えるのだが
想像するにこの募集者はこの上限に近いか、もしくはそれ以上の年令であることは間違いない。
若い分には一向に構わないよと下限をめいっぱいに設定した意図がありありだ。
気持ちはわからないでもない。
しかしこの募集要項で候補者は現れるのだろうか。ボクは心配でたまらなかった。

それからしばらくの間、今でいう出会い系サイトの先駈けのようなその看板は
ここを通るたびにまるでアルバイト募集の告知のようにさりげなく
なおかつ五箇条のご誓文のように重々しくのどかな田舎道に存在していた。
そして一年ぐらい経ってからだろうか。看板は取り外された。
ついに「委細直談」の結果、条件にピッタリのお嫁さんが見つかったに違いない。よかったよかった・・・

話はがらりと変わるけど結婚といえば、多少おこがましい言い方だが
ボクが縁を取り持ったカップルが来月いよいよ結婚することになった。
新郎はボクの会社の後輩、新婦はボクの知人の奥さんの親友。

人に紹介してゴールインするケースなんて初めてなので
嬉しいのは当然だけど反面責任もあるので話がとんとん拍子に進めば進むほど
紹介した方としては逆に少し不安になってきたりもする。
もちろん自信を持ってお勧めしたうちの後輩ではあるが
その後輩にももったいないくらいの素敵なお嬢さんなので
「ほんとにこいつでいいの?ムリしてない?後悔しないよね?」
と一度向こうのお嬢さんに確認してみたかったのだが残念ながらそのチャンスもなく挙式を迎えそうだ。
ていうか2人を見ているとそんな質問も愚問に思えるほどのラブラブぶりだけど。よかったよかった。

家でも2人のアツアツぶりを肴に妻との会話も弾む。
「彼らを見ているとちょうど10年前のおれたちを思い出すなあ、ワハハハハ」
「ホントねえ、結婚前のそういう時期が一番楽しいのよねえ」
「ていうか今も昔も俺たちラブラブだけどね。
『ぼかあキミといる時が一番シャーワセなんだあ♪』なんちってね、歌うか加山雄三?
え、いい?遠慮するなよガハハハハ」
「・・・ねえねえ知ってる知ってる?聞いて聞いて!今日面白い川柳載ってるの見つけたの。

『プロポーズ あの日に戻って 断りたい』だって。」

「ガハハハ!面白いねそれ!ワハハハハ、ワハハハハハ・・・ワハハハ・・・ハハハ」
あの日に戻って断られた日にはボクも「花嫁募集」の看板立てるしかないでしょ・・・
条件考えとこ。

※看板の写真、見たい方はここをクリック(ボクのじゃないよ)
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